最初に釘をさしておきますけど、この小説は「読むべき人」と「読んで理解出来なくて文句ばっかり書いたり言ったりする人」と「全く自分には関係ない世界の話で、何も残らない人」に分かれちゃうよねって話。
わたしはだいすきな本だってことを、最初に言っときますね。
こちら、ツイッタランドで話題のご本。
燃え殻さんの「ボクたちはみんな大人になれなかった」を無事読了いたしまして。
全然手に入らなくて困っていたら、ひょんな巡り合わせから会社に届きまして、その日の帰りの電車と翌日の通勤の銀座線で読んじゃった。
内容はごく単純明快。文章表現も簡単。
サクサクっと読めた。
純文学や古典なんかを読み慣れてる人は確実に物足りないから、悪いことは言わないから読むのはやめたほうが良いです。
「重さがなかった」「内容が(うんぬん)」とか言いたい人は、マジでこれを読まないで他の単行本をお買い求めくださいありがとうございました。
というわけで。
ワイが大好きな清野栄一みたいな、テンポの良いビートニクらしさのある文体。
(ブコウスキーとかそういう泥臭さを求めてる方はブラウザバックしてください)
この本を知ったきっかけは、Twitter。
見るからに「こころをエグられそうな内容なんだな」って思って、盛大にスルーした。
過去の痛々しい何かをエグられそうで怖かった。どうせ昔の携帯小説みたいな軽いモンだと思ってた。
でも、ネットでの評判やら読んでいたら、居ても立っても居られなくなって買いに走ったのが7月後半。
会社近くの本屋1件、渋谷の本屋3件すべてで売り切れ。みんな、考えることって一緒なんだなって思った。
あ、そうだ。本屋に無かったら密林に頼めばいいんだ。って思って井の頭線に揺られながら注文しようと思ったら、なんと入荷待ち。
絶望しかなかった。こんなに「読みたい」って思った本は数年ぶりだった。
Amazonはさすがに在庫あんだろ、って思ってたのが甘かった。
(ちなみに今はAmazonで潤沢に在庫があるっぽいです)
久々に「しぬほど読みたい今すぐ読みたい」って思った本だから余計に絶望したよね~。
帰りに寄った下北沢の本屋2件でも、もちろん売り切れ。
あああああしぬ。このままではしぬ!しんでしまう!
と思ってメモ代わりにFacebookに書いたら、飲み屋で奇跡的な出会いをした人から、会社に本が送られてきた。
もうそこから小説が始まっているみたいで、何もかもが完璧だった。
ああ、あの人もこんな本を読むんだって思うと、人間性が見えた気がした。
(そしてありがとうございました。お陰でしなずにすみました。今度上野あたりで呑みたいなあ)
(ここからが本題)
この本が話題なのは、この本を「とてもいい!!!!!最高!!!!!」って言ってる人たちがある程度の発言力がある人で、なおかつ、この小説に出てくるような世界に身を置いている人たちなわけで。
キラキラっとした世界が理解できなかったり、憧れてたり、はたまた妬んだりしてる人種は微妙かも。
内容はあるようで無いような。
でもどこかひっかかる様な感じなので、1時間もあれば読破できる量。
あるきっかけから、過去の恋愛を思い出した一日を描いてるだけなので、時系列を考えたり登場人物を整理しなくて良いから、読んでる方はラク。
ラストもハッピーエンドでも何でもない、現代的な終わり方だし。
そういうの大好き。
ワイの感想は「よくぞまあ文章に書いてくださいましたありがとうございます!」って感じ。
我々のような10代~20代前半に”ギラついた業界のギラついた年上の人”と付き合ってた女子は、「ああ、いまだにこんなセンチメンタル引きずってんのかしら、あのおっさん」って思うこと必至。
痛くてしょうがない。だからって同情はしない。共感もしない。
何故ならわたしは「女」だから。
でも、読んだからって今更“そういうおっさん”に優しく出来ないのは変わらない。
そういうおっさんに出会っても、こちとらすでに百戦錬磨なので「はいはい」って受け流す技をいくつも手に入れてますから。すいませんね。
あなたが何年もセンチメンタルをズルズルと引きずってる間に、こちらのハードルはガンガン上がってますから。
お疲れ様でした。
どーせ今でもこころが弱くて、たまにポエム並べてSNSの「いいね!」の数を稼ぎたいけど全く「いいね!」ってされない系おっさんのまんまなんだから。
そんなおっさんに心当たりがある女子で、今ワイくらいの年齢(30代)であれば読むべき。
読んでナンバーガールの「OMOIDE IN MY HEAD」やくるりの「東京」なんかを聴いて、一瞬だけ途方に暮れるべき。
一瞬だけ。
通勤の電車の中で読んでいたとしても、地下鉄は降りる駅に止まって、今という時間に引き戻してくれるから大丈夫。
何の問題もないよ。