去年の暑い時期に執心していた王家衛の4Kレストア上映ですが、一通り見てからだいぶ経ったこの6月、また再上映というわけでいってきました。
お約束の新宿シネマートさん。
新宿には車でも電車でもすぐなんだけど、映画の性質上電車での行き来が最適だった。
結末も内容もわかってるからドキドキしながら向かう映画館、そして終わった後に涙をぬぐいながら歩く新宿の街。
あまり映画館に行かなくなってしまったんだけど、王家衛の映画は絶対に映画館で見たいと思った。
上映当時は小学生だったし、味わいなんて全然わかんなかったし。
座席はガラガラ。やっぱり日本は「ブーム」に弱いのかな、と思った。
去年見た時は満員御礼で端っこの方だったから、今回は良い席が取れてよかった。
トイレには金城武と香港の風景。
うちのオランダ人いわく「男性トイレは”そうでもなかったよ”」とのこと。
この思いをもう少し停滞させたかったから、帰りに新宿3丁目でお酒を飲んだ。
大好きなマルゴさんで泡を飲んで、おいしいものをツマんだ。
外にはお一人で飲んでる紳士が、寝てしまっていた。
幼い頃に見て以来の憧れていた記憶からの、熱狂の去年の鑑賞。
そして、ひとつ気持ちが落ち着いた今年の初夏の鑑賞。
もう一度、このタイミングで見て良かった。
去年見た時は感情が前に出てしまって、正直あまり細かいところまではわからなかったし、楽しむ余裕がなかった。
今回はまだストーリーも覚えてるし、去年見えなかったところまで感じることができた。
あんな綱渡りの恋はしたくないよね。
ヒリヒリするようなああいう恋って、経験しておくことに越したことはないんだけど、もうしたくないよね。
好きとか嫌いとか、さんざん喚いたのに一緒に入れないなんて。
心を入れ替えた時には、もう同じ時を過ごせないなんて。
あのままブエノスアイレスに残った(残された)レスリーチャンは、どんな人生のシナリオが待ってるんだろうと思うと泣けて仕方なくなる映画。
何度見てもやっぱり、美しいレスリーチャンが映し出された瞬間、泣いてしまうのだけど。
わたしも、イグアスの滝に行ってビチャビチャになりたい。
これで一通り見たかなって感じだけど、余計に香港に行きたくなった。
それに、この映画のラストは台湾の夜市だから、台湾にも行きたくなった。
台湾のあのガヤガヤした屋台で、とにかく店の人のおすすめを適当に食べる。
喧嘩をしてるのかと思うくらいの喧騒の中、急いで料理を口に運ぶ。
お金を払ってまた次のお店へ、っていうことを何年もしていない。
きっと香港も台湾も、この数年で変わってしまっているに違いないんだけど、わたし(と、うちのオランダ人)にとってはかけがえのない場所には変わらない。
そしてここで朗報。
待望の「欲望の翼」が4Kレストアされるとのこと。
2019年の上映に行けなかったので、もしよければどこかの映画館で見たいなって。
見たい映画があるって、なんかよくない?